米商務省が9月2日から、ロボティクスや産業機械の輸入に関する調査を開始したことが明らかになった。貿易拡大法第232条に基づき、国家安全保障を理由に関税をかけることが可能となる。
対象となるのはCNCマシニングセンター、旋盤、フライス盤、研削装置、産業用プレス機、さらには自動工具交換装置や溶接・切断装置など幅広い製造装置だ。現政権は既に金属、医薬品、家具、車両への関税を計画しており、特に中国からの輸入品が標的となっている。
国際ロボット連盟によると、中国は世界の他の地域を合わせた以上のロボットを使用しており、米国の5倍の産業用ロボット在庫を保有している。米国は中国、日本に次ぐ世界第3位の市場となっているが、産業自動化の大部分はアジアと欧州企業に依存している状況だ。
米国自動化推進協会のジェフ・バーンスタイン会長は「大規模な関税が課されれば、米国の製造業回帰への取り組みに影響を与えるのではないか」と懸念を表明している。ノヴァンタのロバート・リトル氏は、中国製ロボットが標準価格の半額から3分の1で市場に流入している現状を指摘し、競争と見るか供給チェーンの長期的な問題と見るか判断が必要だとしている。
技術市場アドバイザリーのゲオルク・シュティーラー氏は、短期的には経済性を失ったプロジェクトが中止され自動化が遅れる可能性があるとしながらも、中長期的には米国でのロボット生産という目標は達成される可能性があると分析する。ただし、競争力のあるメカトロニクスのエコシステム構築には追加措置と強力な努力が必要になるという。
イグスのフェリックス・ブロックマイヤーCEOは、5年前から米国での製造拡大に投資してきた経験から、関税の効果に疑問を呈している。米国で調達できない重要材料に関税がかけられ、最終的にコストは顧客が負担することになる。工場建設用の設備や材料にも関税がかかり、地元での調達先がまだ存在しない状況で、製造業の復活には年単位の時間が必要だと指摘する。
商務省は10月17日までパブリックコメントを受け付けている。製造業の国内回帰という長期目標と、短期的な自動化の遅れというジレンマの中で、米国がどのような舵取りをするのか。世界のロボティクス産業の勢力図を変える可能性を秘めた政策判断となりそうだ。


