ロボット制御AI「RDT2」が実現するゼロショット展開 人間動作1万時間の学習で未知のアームでも即座に稼働

ヒューマノイドロボット

中国の研究チームが、異なるロボットアーム間でプログラムの書き換えなしに動作可能な汎用制御AI「RDT2」を開発した。人間の日常動作を大規模に学習させることで、初見のロボットでも物体のピッキングや配置、押す、拭くといった基本動作を実行できるという。

これまでロボット制御システムは、個別のハードウェアごとに専用プログラムを開発する必要があった。産業用ロボットの導入には高額なエンジニアリング費用が発生し、特に中小企業にとって大きな参入障壁となっていた。

研究チームは「UMI」と呼ばれる軽量な動作記録デバイスを独自開発。ナイロン66とガラス繊維の複合材料を使用し、赤外線による高精度な位置追跡システムを搭載した。このデバイスを100以上の実際の家庭やオフィス環境に配布し、1万時間を超える人間の操作データを収集したという。

従来のテレオペレーション方式と比較すると、コストは約10分の1、データ収集速度は5倍に向上したとされる。収集されたデータには、日常生活で発生する大部分の操作タスクが含まれており、水や熱との接触、5指の器用さを必要とする作業を除く幅広い動作パターンをカバーしている。

学習モデルには、70億パラメータのQwen2.5-VLをベースに採用。3段階の学習プロセスを経て、推論速度を大幅に向上させた。第1段階では離散的な動作トークンを生成し、第2段階では連続的な動作生成への移行、第3段階では単一ステップでの高速推論を実現している。

実証実験では、時速約50キロで飛来するアーチェリーの矢を100ミリ秒の反応時間で掴む、卓球のラリーを続ける、布を折りたたむといった高難度タスクに成功。特に布のような変形物体の操作は、従来の明示的なモデリング手法では困難とされてきた領域であり、エンドツーエンドの学習アプローチの優位性を示している。

製造業や物流業界では、多品種少量生産への対応や人手不足の解決策として汎用ロボットへの期待が高まっている。これまでネックとなっていた個別プログラミングのコストが大幅に削減される可能性があり、中小規模の工場や倉庫でもロボット導入が進む道筋が見えてきた。ロボット制御ソフトウェアの標準化が進めば、ハードウェアメーカー間の競争も活発化し、価格低下につながる展開も考えられる。

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