産業用ロボットの最大の課題であった複雑なプログラミング作業が、ついに自動化される時代が到来した。
日本電気(NEC)とシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが、ロボット3Dシミュレーション分野で戦略的提携を締結。両社の技術を統合することで、製造業の生産性向上と人材不足解消に向けた新たな道筋が見えてきた。
今回の提携の核となるのは、NECのAI技術「ロボットタスクプランニング」と、シーメンスの3Dロボットシミュレータ「Process Simulate」の融合だ。NECの技術は複数ロボットの協調動作を最適化する独自アルゴリズムを搭載し、動作プランをAIが自動生成。一方のシーメンスのソフトウェアは世界中の製造現場で採用される実績を持ち、生産ラインを停止せずに仮想環境でティーチングを実行できる。
製造業では長らく、ロボットのプログラミングに熟練技術者の経験と勘が不可欠とされてきた。しかし両社のソリューション統合により、属人化していた作業ノウハウがデジタル化され、誰でも高度なロボット制御が可能になる。生産ライン立ち上げ期間の大幅短縮も期待でき、製造業のグローバル競争において重要な差別化要因となるだろう。
NECは「BluStellar」という価値創造モデルの一環として、製造現場のデジタルツイン構築を推進している。今回の連携により、Process Simulateのインターフェースから直接NECのAI機能を呼び出せる仕組みが実装された。両社は共同セミナーや展示会を通じて、日本だけでなくグローバル市場への展開を加速させる計画だ。
産業用ロボットの市場規模は2030年までに現在の3倍に拡大するとされる。その成長を支えるのは、導入コストの削減と運用効率の向上だ。今回の提携により、中小製造業でもロボット導入のハードルが下がり、製造業全体のデジタル変革が加速する可能性が高まっている。


