中国Xpeng、「最も人間らしい」二足歩行ヒューマノイドロボット「Iron」発表 2026年量産へ

Xpeng IRON

中国の電気自動車メーカーXpeng(小鵬汽車)は1月7日に開催したAI Day 2025で、次世代ヒューマノイドロボット「Iron」を披露した。女性型の外観を持つロボットが舞台を滑らかに歩く姿は、同社CEOのHe Xiaopeng氏によれば「リハーサルで同僚から中に人が入っているのかと聞かれた」ほど自然な動作を実現している。

同社は過去7世代のロボット開発で5世代を四足歩行型に費やしたが、手がなく複雑な家庭環境での移動が困難という理由から人型への転換を決めた。人間に近い形状でなければ「現実的なデータを収集できない」とHe氏は説明し、家庭やオフィス、商業施設での活用には人型が不可欠との見解を示している。

技術面では、VLT(Vision-Language-Task)、VLA(Vision-Language-Action)、VLM(Vision-Language-Model)という3つの大規模AIモデルを組み合わせたシステムを搭載。特にVLTは「コアエンジン」として自律的な行動と意思決定を担うとされる。これらは同社独自開発のTuring AIチップ3基で動作し、最大2,250TOPSの演算能力を提供するという。

ハードウェア面での注目点は「業界初」とされる全固体電池の採用だ。家庭やオフィスで動作するロボットには自動車以上の安全性が求められるため、この先進技術を車両ではなくロボットに先行投入したと同社は説明している。また、各手に22自由度を持つ器用な手、人間のような背骨構造、感情表現が可能な3D曲面ディスプレイの顔なども特徴として挙げられている。

興味深いのは、多くの競合他社が中性的なデザインを採用する中、Xpengは体型や性別をカスタマイズ可能な設計を選択した点だ。「将来ロボットを購入する際、車を選ぶように性別を選べる」とHe氏は述べ、触覚センサー付きのソフトスキンや異なる体型の選択肢も用意される。この方針は、ロボットをより「温かく親密な存在」にするための戦略の一環だという。

商業化への道筋については慎重な姿勢を見せている。工場での作業は「複雑な手が1か月で摩耗し、中国では人間を雇う方が費用対効果が高い」として対象外とし、家庭向けも安全性と環境の複雑さから当面は見送る。代わりに商業施設での案内役や受付などから展開し、まず2025年から自社の小売店で製品紹介を担当させる計画だ。

2025年4月から量産準備を開始し、2026年末までの本格量産を目指す。開発促進のため、SDKを公開して世界中の開発者に新機能開発への参加を呼びかける方針も示された。さらに同社は「ロボットは人間のプライバシーを開示してはならない」という独自の「ロボット第四法則」も設定している。

自動車産業で培った自動運転技術とAI開発力を武器に、電気自動車メーカーがロボット市場へ本格参入する動きが今後加速する可能性がある。特に、現実的な用途から段階的に展開する戦略は、他の自動車メーカーにとっても参考になるアプローチといえそうだ。

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