テスラのイーロン・マスクCEOがニューヨークで開催されたイベントで、同社のヒューマノイドロボット「Optimus」の新たな活用領域として、外科手術分野への参入構想を明らかにした。世界的な外科医不足を解決し、誰もが最高水準の医療を受けられる未来を描く。
マスク氏は「Optimusは人間を超える精密さを持つ信じられないほど優れた外科医になるだろう」と語り、熟練外科医の不足という世界的課題にロボットが解を提供できると主張した。この構想は、同社が推進する「マスタープラン・パート4」の一環で、クリーンエネルギー企業から日常生活のあらゆる場面でテクノロジーを活用する企業への転換を象徴している。
現時点でOptimusは歩行や軽量物の持ち上げ、卵を慎重に掴むといった基本動作が可能な段階にある。しかし2026年初頭に発表予定の次世代モデルでは、手の構成部品を大幅に増やすことで、時間をかけてより繊細な動きを実現する計画だという。テスラは本格的な量産体制が整えば、年間最大100万台の製造を目指している。
医療専門家からは実現への道のりは長いとの指摘もある。現在医療現場で使われるロボットには必ず人間の監視が必要であり、患者の容体が急変した場合の即座の対応が求められるためだ。完全自律型の医療ロボットには、各段階での安全性を証明する徹底的な試験が必要となり、現行の規制枠組みでは対応しきれない部分も多い。
臨床現場では予測不能な状況変化が頻繁に起こるため、ロボットはリスクを負うことなく慎重に対処する能力が必要となる。さらに現在の規制体系は完全自律型ロボットの医療行為を想定しておらず、新たな基準作りも課題となっている。
それでもテスラの計画は、従来の自動車・エネルギー事業を超えた成長分野を模索する企業の野心的な取り組みを示している。実用化までの道のりは険しいものの、成功すれば医療格差の解消につながる革新的な技術となる可能性を秘めている。


