WaymoやTesla、Zooxといったロボタクシー事業者が米国で急速にサービスを拡大している。しかし、自動運転の華やかな進化の陰で、あまり語られない課題が顕在化しつつある。それは、車両の充電と日常メンテナンスを支える「デポ運営」の効率化だ。
オランダの自動充電スタートアップRocsys社のCEO、Crijn Bouman氏によれば、現在の米国と中国のロボタクシーデポでは、車両12〜14台につき約1人のスタッフが配置されているという。充電ケーブルの抜き差し、車内清掃、軽微な点検といった作業が人手に頼っている。
この比率を都市規模に当てはめると、ロサンゼルスやサンフランシスコのような大都市圏で本格的なサービスを展開するには約1万台のロボタクシーが必要とされる。その場合、デポ運営だけで800〜1000人の雇用が発生する計算だ。24時間365日稼働するサービスを維持するには、交代制を含めた相当な人員体制が求められる。
Bouman氏は「自動運転車はドライバーを不要にしたが、インフラはいまだに人間の操作を前提に設計されている」と指摘する。充電ステーションをはじめとする既存インフラは、人がケーブルを接続することを想定して作られている。この設計思想がロボタクシーの大規模展開において障壁になる可能性があるという。
2019年創業のRocsysは、既存の充電器にロボットアームとソフトウェアを後付けする「ロボチャージャー」を開発している。ハードウェアとAI、コンピュータビジョンを組み合わせ、人間の介在なしに充電プロセスを完結させる仕組みだ。同社はすでに複数の大手ロボタクシー事業者と大型契約を締結しており、港湾や物流ヤードでの実績も積み上げている。
投資家の視点から見れば、ロボタクシー関連銘柄の評価軸が変化しつつある点が注目される。これまでは自動運転技術やAIの先進性が焦点だったが、今後は充電自動化、デポ管理ソフトウェア、フリート保守システムといった「裏方のインフラ」が収益性を左右する要素として浮上する可能性がある。
自動運転車両が都市交通の主役になる未来は着実に近づいている。その実現を支えるのは、華やかなAI技術だけでなく、地道なインフラの自動化なのかもしれない。


